公正取引委員会による「人材と競争政策に関する検討会」の報告書が公表されました
法律情報| 2018.03.19
平成30年2月15日付で、公正取引委員会の競争政策研究センターがまとめた「人材と競争政策に関する検討会の報告書」が公表されました(http://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index.html)。
働き方改革のもと、多様で柔軟な働き方が増え、フリーランスの個人事業主も増加する一方です。企業と雇用契約を結ばずに個人で仕事を引き受けるフリーランス人材の処遇改善に向けて、フリーランスとの業務委託契約書に独占禁止法上の優越的地位の濫用などを適用しうるとする公正取引委員会の考え方がまとめられました。
これまで企業が社外の人材と業務委託契約を締結する場合、ある程度優越的地位をもって企業が取引条件を優位に進めることが多いの実態でした。しかしながら、この報告書では、不当な秘密保持義務を課したり、生み出した成果に過度な利用制限をかけたり、著しく低い対価での取引を要求することなどが、独占禁止法上問題となりうる行為であると指摘しています。
とはいえ、業務委託契約でトラブルになる事例は、委託された業務の内容が不明確であることの端を発することが大半です。
今後さらに増加する個人事業主との業務委託契約については、費用の支払条件であったり、成果物の利用制限、秘密保持義務の内容について、独占禁止法上の配慮が必要となってきますが、その前に、委託する業務の内容を可及的に明確化することを最重要課題にして対応していくべきだと思われます。