武田薬品によるシャイアー買収におけるアドバイザーが判明
法律情報| 2018.05.10
武田薬品工業がアイルランド製薬会社大手シャイアーに対して、正式に買収提案をすることが5月8日に公表されました。
(5月8日付 日本経済新聞https://r.nikkei.com/article/DGKKZO30175920X00C18A5MM8000?type=edition&name=paper&edition=20180508M101)
買収総額7兆円というのは日本企業のM&Aにおいて過去最大であり、売手買手双方に財務アドバイザーや法務アドバイザーが付いています。報道によると、武田薬品工業の財務アドバイザーは野村証券、JPモルガン、エバコア、法務アドバイザーでリンクレーターズ、西村あさひ法律事務所、オジェが、シャイアーには財務アドバイザーとしてゴールドマン・サックス、シティーグループ、モルガンスタンレー、法務アドバイザーにスローター&メイ、デービス・ポーク&ウォードエル、長島・大野・常松法律事務所、ムーラン・オザンヌです。当然のことながら、売手のアドバイザーは売手のために動き、売手から報酬を、買手のアドバイザーは買手のために動き、買手から報酬をもらいます。
しかしながら、中小企業のM&Aの中には、特定の会社が双方のアドバイザーを兼ねて双方から報酬を取るということが少なくありません。アドバイザーは契約成立により報酬を獲得できるため、いずれか一方にとって不利益な内容であっても、そこには目をつぶってしまうこともあります。さらには、アドバイザーにとっては、買収金額が高くなるほど成功報酬が高額となります(最低報酬が契約金額に比して高額という場合もあります)。そこで、買手は高値で対象企業をつかまされることもあったりするのが実態です。
中小企業のM&Aにおいても、例えば買収対象会社に潜在的な法的リスクはないか否か、それによって買収金額を下げることができないか等、経験ある弁護士等にご相談することをお勧めします。