パワハラ防止策を義務付ける法整備の検討
法律情報| 2018.09.25
厚生労働省が、パワーハラスメント(パワハラ)の防止策づくりを企業に義務づける法律を整備する検討に入ったとのこと(9月25日付 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35688570T20C18A9MM8000/)。
厚労省はパワハラ被害者の事後的な救済だけでなく、被害を予防する必要性が高まっているとして、パワハラ防止策を企業に義務付ける内容での新法制定も視野に、2019年の国会へ関連法案提出に向けて動き出したとのことです。想定されているのは、パワハラ防止措置を義務付けたうえで、働き手の相談にのる社内の窓口を設けたり、事実関係をすみやかに調査・確認したりすることの義務化です。
これまでも、パワハラ防止措置として、従業員研修をおこなったり、パワハラが発生しているとの情報提供があった場合には、当事者からヒアリングをしたうえで、事実関係を確認して、しかるべき措置を講ずるといった動きをしている企業は少なからずあります。ただし、これをやらなかったからといって、何らかの罰則があるかというわけはなく、被害者の救済は、民事裁判での慰謝料の請求等によっていたのがほとんどです。
今回の法改正もしくは新法制定では、パワハラ防止措置であったり、事後の事実関係の調査などを法律上義務づけ、法律に違反した企業には行政指導の対象となり、悪質な場合には社名の公表も検討されています。
人口減少社会において、各企業は人材採用のために、より従業員の就業環境を整えていく必要があります。2019年の国会に提出予定のパワハラ防止新法についても、国会での議論の状況を把握し、新法の内容を先取りして各社運用していく必要があるかもしれません。