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中小企業における労働時間の削減について

法律情報2019.06.28

味の素が1日1時間の労働時間の削減を達成したとの記事がありました(こちら

全営業員の実態を調査して、主として移動時間の削減により労働時間の削減を達成したとのことでした。

労働時間の規制については、1日8時間、1週間40時間を超えて労働者を働かせてはならないという大原則があります。もっとも、従前は特別条項付きの36協定を結べば、実質的に残業時間青天井で、働いてもらうことが可能でした。しかしながら、働き方改革関連法案の成立により、特別条項付きの協定がある場合であっても、罰則付きの上限規制が設けられました。

まず、大原則として・1ヶ月45時間・年間360時間という大きな枠があります。ただし、特別な事情があれば、年間720時間までは残業が認められることになっています。しかしながら、その場合であっても、2ヶ月〜6ヶ月の残業時間のすべての平均時間が80時間以内、かつ1ヶ月100時間未満という条件を満たすことが求められます。

味の素では、移動時間を削減するために、営業所の社員がオフィスに戻って仕事をする必要のない仕組みづくりを行いました。

中小企業であっても、今後は、従業員の労働時間をなるべく削減しつつ、収益を確保していく必要があります。ではどのように削減していけば良いのでしょうか。例えば、現在総務でやっている人事労務関係の単純作業について、ソフトウェアに任せるということもひとつでしょう。その他、請求書作成、発送についてアウトソースすることもあります。しかし、実はこれまで単純作業と思われていたこと以外であっても、効率化することは可能です。

たとえば、医師の世界では、画像診断について、医師による確認の前にソフトウェアによる診断を行うことで、効率性を高めています。また我々弁護士の世界であっても、契約書のチェックについて、弁護士が判断する前にソフトウェアに一次的なチェックをさせる例が増加しています。

今まで、効率化できそうになかったことも技術の進歩により効率化し、生産性をあげ、労働時間を削減することが可能となっています。

中小企業経営者は、今後は、これまでにない観点からも生産性を上げていく努力が求めらていくのではないでしょうか。